2025年4月4日時点における日本の感染症の最新動向(Gensparkバージョン)

 

2025年4月4日時点における日本の感染症の最新動向

1. 感染症の概況

2025年春における日本国内の感染症発生状況を厚生労働省および国立感染症研究所の発表データをもとにまとめました。現在、インフルエンザ、感染性胃腸炎ノロウイルス)、麻疹(はしか)など複数の感染症が同時に流行している状況が見られています[1]。特に春の季節変化に伴う感染症の動向と、海外からの輸入感染症への注意が必要です。

重要ポイント

2025年4月現在、特に注意が必要な感染症

2. インフルエンザの流行状況

2024-2025年シーズンのインフルエンザは、例年よりやや早い時期から流行が始まり、全国的に患者数が増加しました。東京都感染症情報センターの調査によると、特に冬季にピークを迎え、現在は減少傾向にあるものの依然として警戒が必要な状況です[2]

2.1 患者報告数の推移

2024-2025年シーズンの患者報告数は、2023-2024年シーズンと比較して多く、特に小学生を中心とした学校での集団発生が目立ちました。定点医療機関からの報告では、2025年1月下旬から2月上旬にかけてピークを迎え、その後緩やかに減少していますが、春先の低温傾向により流行の長期化が懸念されています。

2.2 ウイルス検出状況

病原体サーベイランスによると、2024-2025年シーズンは以下のウイルスが検出されています:

  • A型H1N1亜型(AH1pdm09):約27%
  • A型H3N2亜型(A香港型):約42%
  • B型(Victoria系統):約31%
  • B型(Yamagata系統):検出なし

今シーズンは複数のタイプが同時に流行する状況が見られました[3]

注意喚起

インフルエンザウイルスは症状が軽快した後も1週間程度ウイルスを排出することがあります。特に小児では長期間ウイルスを排出するため、回復後も手洗いなどの基本的な感染対策の継続が重要です。

2.3 学校等における臨時休業の状況

2024-2025年シーズン(2024年9月~2025年4月初旬まで)におけるインフルエンザ様疾患による学校等の臨時休業報告は以下の通りです:

施設区分 報告数
保育所 1,612
幼稚園 171
小学校 5,611
中学校 1,485
高等学校 326
その他 24
合計 9,229

特に小学校での臨時休業が多く報告されており、例年と比較して約1.5倍の発生頻度となっています[2]

3. 感染性胃腸炎の流行状況

2025年4月現在、感染性胃腸炎の患者報告数は過去10年で最多のレベルを記録しています。特に2つのタイプのノロウイルスが同時に流行していることが特徴です[4]

3.1 ノロウイルスの流行状況

国立感染症研究所の調査によると、現在流行しているノロウイルスは主に以下の2つのタイプです:

これらの異なるタイプが同時に流行していることにより、幅広い年齢層で感染が拡大しています。特に2月下旬からの春先の低温傾向により、例年より長期間にわたって流行が続いている点が注目されています[5]

ノロウイルス感染予防のポイント

  1. 適切な手洗い:石けんと流水で30秒以上、特に食事前やトイレの後に念入りに
  2. 食品の加熱処理:85~90℃で90秒以上の加熱が必要
  3. 吐物・排泄物の適切な処理:使い捨て手袋とマスクを着用し、塩素系漂白剤で消毒
  4. 共用物の消毒:ドアノブやトイレなど共用部分の定期的な消毒

3.2 集団発生事例

2024-2025年シーズン(2024年9月~2025年4月初旬まで)の感染性胃腸炎の集団発生事例は以下の通りです:

施設区分 報告数
保育所 540
幼稚園 10
小学校 44
医療機関 21
社会福祉施設 154
その他 8
合計 777

特に保育所社会福祉施設での発生が多く、乳幼児や高齢者など感染症に対して脆弱な集団での注意が必要です[6]

警告:脱水症状に注意

感染性胃腸炎による嘔吐や下痢が続く場合、特に乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしやすいため要注意です。以下の症状がある場合は早めに医療機関を受診してください:

  • 尿量の減少
  • 強い倦怠感
  • めまい・立ちくらみ
  • 唇や口の中の乾燥

4. 新型コロナウイルス感染症の最新動向

新型コロナウイルス感染症は2023年5月8日より5類感染症に移行しましたが、引き続き定点サーベイランスによる監視が継続されています[7]

4.1 患者数の推移

厚生労働省の発表によると、2025年3月における新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数は以下の通り推移しています:

  • 2025年3月9日~3月15日:3.85人/定点
  • 2025年3月16日~3月22日:3.23人/定点

2024年第45週(11月初旬)から増加傾向を示し、2025年第6週(2月初旬)をピークに徐々に減少している状況です[8]

4.2 最新の症状の特徴

現在流行しているウイルス株による主な症状は以下の通りです:

  • 発熱(37.5℃以上)
  • 咳・喉の痛み
  • 鼻水・鼻づまり
  • 倦怠感
  • 筋肉痛・関節痛

重症化リスクは従来株と比較して低減していますが、基礎疾患のある方や高齢者では注意が必要です[9]

ポイント:感染対策の継続

新型コロナウイルス感染症は5類に移行しましたが、基本的な感染対策の継続が重要です:

  • 場面に応じたマスクの適切な着用
  • 手洗い・手指消毒の徹底
  • 「密」を避ける行動
  • 体調不良時の外出自粛

5. 麻疹(はしか)の最新動向

2025年に入り、特に3月以降、麻疹患者の報告が急増しています。日本は2015年に麻疹排除国として認定されていましたが、近年の報告数増加に注意が必要です[10]

5.1 報告例の増加

国立感染症研究所によると、2025年第10~11週(3月3日~16日)に報告された麻疹患者は22例と急増しています。これは2024年1年間の国内報告数20例を上回る数字です。特に懸念されるのは、海外渡航歴のない国内感染例が増加していることです[11]

推定感染地域は以下の通りです:

  • ベトナム:10例
  • タイ:2例
  • 国内感染:8例
  • 不明:2例

警告:麻疹は重症化のリスクが高い感染症です

麻疹(はしか)は非常に感染力が強く、空気感染・飛沫感染接触感染で広がります。合併症として肺炎や脳炎を引き起こすことがあり、特に乳幼児や免疫不全の方は重症化するリスクが高くなります。発症予防にはワクチン接種が最も効果的です。

5.2 予防対策

麻疹の予防には、予防接種が最も効果的です。特に以下の方々は予防接種の検討が推奨されています[12]

  • 過去に麻疹ワクチンを2回接種していない方
  • 麻疹の罹患歴がなく、ワクチン接種歴が不明な方
  • 海外渡航予定のある方(特に東南アジア方面)

麻疹予防のポイント

  1. ワクチン接種状況の確認母子手帳などで過去の接種履歴を確認しましょう
  2. 2回の接種:十分な免疫を得るためには2回の接種が推奨されています
  3. 渡航前の確認:海外渡航前に特に自身の免疫状態を確認することが重要です
  4. 早期受診:発熱、発疹などの症状がある場合は、事前に医療機関に連絡してから受診しましょう

6. 感染症予防のポイント

複数の感染症が同時に流行している状況では、基本的な感染症対策の継続が重要です:

  1. 手洗い・手指消毒の徹底:外出後、食事前、トイレ使用後は特に念入りに
  2. 適切なマスク着用:混雑した場所や医療機関では着用を検討
  3. 換気の徹底:室内では定期的な換気を行う
  4. 体調管理の徹底:十分な休息、バランスの良い食事、適度な運動
  5. 必要なワクチン接種:自身のワクチン接種状況を確認する
  6. 体調不良時の行動:症状がある場合は無理せず自宅で休養

重要ポイント:適切な情報収集

感染症の流行状況は日々変化します。正確な情報を厚生労働省国立感染症研究所、各地域の保健所などの公的機関から入手し、適切な対応を取ることが重要です。特に海外渡航を予定している方は、渡航先の感染症情報を事前に確認しましょう。

参考文献

  1. 厚生労働省. 感染症情報. 2025年4月更新. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html
  2. 東京都感染症情報センター. インフルエンザの流行状況(東京都 2024-2025年シーズン). 2025年3月更新. https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/flu/flu/
  3. 国立感染症研究所. IDWR速報データ 2025年第8週. 2025年3月4日. https://www.niid.go.jp/niid/ja/data/13158-idwr-sokuho-data-j-2508.html
  4. NHK. 感染性胃腸炎の患者数 最多続く 2タイプのノロウイルス流行. 2025年4月4日. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250404/k10014769431000.html
  5. 東京都感染症情報センター. 感染性胃腸炎の流行状況(東京都 2024-2025年シーズン). 2025年4月更新. https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/gastro/gastro/
  6. 厚生労働省. 感染症発生動向調査週報 (IDWR). 2025年第12週. https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr.html
  7. 厚生労働省. 新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2025年. 2025年4月更新. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00474.html
  8. NHK. 新型コロナウイルスの感染者数の推移・全国比較. 2025年3月24日更新. https://www3.nhk.or.jp/news/special/infection/dashboard/covid19.html
  9. Fast Doctor. 【2025年4月】コロナの最新症状や潜伏期間について確認しよう. 2025年4月更新. https://fastdoctor.jp/columns/corona2024
  10. 厚生労働省. 麻しんについて. 2025年3月更新. https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html
  11. 日経メディカル. 「海外渡航歴なし」の麻疹患者が3月に急増. 2025年3月27日. https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/202503/588057.html
  12. 厚生労働省. 「麻しん(はしか)」は. 2025年3月18日作成. https://www.mhlw.go.jp/content/001452642.pdf

※本記事は2025年4月4日時点の情報に基づいて作成されています。最新の情報は各公的機関の発表を確認してください。