AIを活用した文献検索ツールの比較調査

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AIを活用した文献検索ツールの比較調査

近年、AI(人工知能)を活用した文献検索ツールが多数登場し、研究者や学生の文献レビュー作業を大きく効率化しています。本記事では、代表的な文献検索AIツールである PubMedのAI機能, Consensus, SciSpace, Elicit, Perplexity, Connected Papers, Research Rabbit などを取り上げ、以下の観点から比較します:検索精度、使いやすさ、要約機能、対応データベース、無料・有料プランの違い、その他のユニークな特徴。それぞれの強み・弱みを押さえて、目的に合ったツール選択の参考にしてください。

PubMed(AI機能)

  • 検索精度: 世界最大規模の生物医学文献データベースPubMedは、数千万件に及ぶ論文情報を収録しています [1]。近年導入された Best Matchアルゴリズム により、機械学習を用いて関連度の高い順に検索結果を表示します [1]。ユーザのクリックログから学習したLambdaMARTモデルで上位500件を再ランク付けし、従来のキーワード一致に比べて精度向上が図られています [1]。医学分野での網羅性は非常に高く、確実に信頼できる論文を漏れなく検索できる点が強みです。
  • 使いやすさ: PubMedはシンプルなUIで高速に動作します。検索クエリ入力時に自動補完候補が出る クエリサジェスト や、同義語・綴り揺れを自動補正する クエリ拡張 機能も備わっています [1]。また絞り込みフィルターも充実しており、出版年、論文種別(臨床試験、レビュー等)、対象となる生物種や年齢層など細かな条件で結果をフィルタできます。インタフェースは研究者向けに洗練されていますが、MeSH用語など専門知識を活用すればさらに精度良く検索可能です。
  • 要約機能: PubMed自体にAIによる要約提示機能はありません。検索結果には各論文のタイトルと抄録(要約)が表示されるのみで、ユーザ自身が抄録や本文を読む必要があります。ただしSemantic Scholarなど他サービスでは、PubMed論文に対する自動TL;DR要約を提供している場合があります。
  • 対応データベース: MEDLINE を中心に生命科学・医学領域の膨大な文献を網羅しています [1]。PubMedには医学用語シソーラスであるMeSHが組み込まれており、用語の階層構造を利用した検索が可能です。プレプリントや学位論文、書籍などは含まれず、あくまで査読付き医学論文に特化しています。
  • 無料・有料プラン: 米国NLM提供の公的サービスであり、完全無料で利用できます。APIも公開されており、プログラマブルに文献検索・取得が可能です。
  • その他の特徴: 著者名の曖昧性解消や、自動的な論文へのMeSH割り当てにも機械学習が活用されています [1]。PubMedは信頼性が極めて高い反面、AIによるQ&Aや関連論文の視覚化といった最新機能は持たず、必要に応じて他のAIツールと組み合わせて使われることが多いです。

Consensus

  • 検索精度: Consensusは学術論文に特化したAI検索エンジンで、2億件以上の科学論文 を対象に質問に答える形で関連論文を探し出します [2]。従来の検索エンジンのようなノイズ混じりの結果ではなく、ユーザの問いに対して エビデンスとなる論文からの知見」 を直接提供するのが特徴です [2]。検索結果は必ず査読済み研究へのリンク付きで提示されるため、信頼性の高い情報源に基づいて議論を進められます [2]。AIが質問の意図を理解し、キーワードの完全一致に頼らず意味的に関連する論文も拾い上げるため、関連性の高い結果が得られやすいです。
  • 使いやすさ: シンプルで直感的なUIで、広告表示もなく快適に利用できます [2] [2]。検索ボックスに質問やキーワードを入れるだけで、関連論文と要点が表示されます。各論文には Study Snapshot 機能で手法や集団など主要情報を抽出したサマリーを見ることもでき、論文を開かずとも概要を把握可能です。また検索結果や論文をリスト管理するお気に入り機能もあり、調査を整理しやすい設計です。
  • 要約機能: 内蔵されたGPT-4などの大規模言語モデルにより、論文の主張や研究結果を瞬時に要約して表示できます [2]。例えば質問を入力すると、関連論文の結論を要約したAI回答が提示され、複数論文間で一致した知見や相反する結果なども統合される場合があります。また各論文のページでは、AIがその論文の方法・結果を一段落に凝縮した要約を示す機能も備わっています。
  • 対応データベース: 提供元から明確に公表されていませんが、Semantic Scholarのオープンコーパスなど幅広い分野の学術論文を統合したデータベースを用いていると推測されます。医学・社会科学から工学までカバーする汎用的な学術検索ツールです。ただし全文アクセスはオープンアクセス論文に限られ、それ以外は要旨ベースでの回答となります。
  • 無料・有料プラン: 基本機能は無料で試せますが、上位機能を使うには月額8.99ドル程度のサブスクリプションプランがあります [2]。有料版ではより高性能なモデル(GPT-4)による高度な分析や、一度に処理できるクエリ数の拡大などが提供されます。無料版でも論文検索と要約提示は可能ですが、一日の問い合わせ回数などに制限がある場合があります。
  • その他の特徴: 質問に対する**「コンセンサスメーター」**という機能がユニークで、関連論文が賛成・反対どちらの立場かを集計し可視化することで、そのトピックに関する科学的合意の度合いを示します。また結果の一覧では論文ごとに質の指標(被引用数や研究デザインの質評価など)も表示され、エビデンスの信頼性を比較できる工夫がされています。総じて、特定のリサーチクエスチョンに対しエビデンスを迅速に集約してくれる頼もしいツールです。

SciSpace

  • 検索精度: SciSpace(旧Typeset)はオールインワンの研究プラットフォームで、AIを活用した文献探索機能「Literature Review」を備えています。2億件超の論文データベース からユーザの質問に合致する研究を検索し、結果を表形式で提示します [3]。検索アルゴリズムは論文の内容に基づく意味検索が中心で、キーワードの多少の異なりを超えて関連論文を見つけます。結果には各論文のタイトル、著者、年、要約や重要な知見が含まれ、関連性の高いものから順にリスト化されます。フィルター機能も強力で、年や研究分野で絞り込んだり、統計的手法やデータセットといったメタデータでソートすることも容易です [3]。
  • 使いやすさ: SciSpaceはUI/UXが洗練されており、文献検索からPDF閲覧、ノート管理、論文執筆支援まで一貫して行えるのが特長です [4]。検索結果の画面ではスマートフィルターにより必要な論文を取捨選択しやすく、ハイライトしたテキストから関連文献を推薦する機能も備わっています [3]。操作は直感的で、例えばPDFをアップロードするとその場でAIと対話しながら読むことができ、別タブを行き来する手間が減ります。初学者からヘビーユーザまで幅広く使いやすい設計ですが、機能が多いため慣れるまでにできることの把握に少し時間がかかるかもしれません。
  • 要約機能: SciSpaceのAIアシスタント(Copilot)は論文要約や質疑応答に優れています。検索機能では各論文にTL;DRサマリー(要点の短縮表示)や、イントロ・結論・手法の簡潔なまとめなどを自動生成してくれます [3]。また「ChatPDF」機能ではPDF全文をアップロードしてAIと対話可能で、論文の特定部分の意味説明や図表の解釈、内容の要約をその場で質問できます。これにより、論文を深く読み解く際の時間短縮と理解促進が期待できます。
  • 対応データベース: 約2.7億件とも言われる広範な文献データベースを保有しており [11]、主要な学術出版社の論文やarXivなどプレプリントまで幅広く網羅しています。加えてユーザ自身のPDFをアップロードして分析することもでき、手持ちの資料とオンラインデータベース双方を横断して知見を引き出せます。分野横断的に利用できる点で、特定領域に偏らない包括性を備えています。
  • 無料・有料プラン: 基本機能は無料で利用でき、AIチャットやパラフレーズ支援などコア機能も一定範囲で使えます [12]。有料のプレミアムプラン(月額約10~12ドル)では、AIへの問い合わせ無制限、高精度モデルへのアクセス、より長いテキストの処理などが可能になります [13]。無料版では1日に使えるAIアシスタントの回数や同時に開けるプロジェクト数に上限があるものの、ライトユーザであれば無料枠でも十分活用できます。
  • その他の特徴: SciSpaceは文献検索に留まらず、論文執筆のワークフロー全体を支援するユニークな存在です。AIライターによる文章生成補助、引用文献の自動フォーマット機能、盗用チェックや文法チェックまで一通り備えており [3] [3]、研究の着想から論文執筆・投稿準備までを一気通貫で行えます。まさに研究版の総合オフィススイートと言えるでしょう。

Elicit

  • 検索精度: ElicitはOught.orgが開発したAI研究アシスタントで、Semantic Scholarのデータベース(1億2千万超の論文) を横断的に検索します [10]。ユーザが自然文で質問を入力すると、関連する論文を意味ベースで検索し上位結果を返します。キーワードのマッチだけでなく質問意図に沿った論文をembedding(埋め込み)ベクトルに基づき見つけるため、新しい切り口の論文も発見しやすいです。一方でデフォルトでは被引用数など従来指標は考慮せず類似度重視の並びになるため、古典的名著よりも最新の論文が上位に現れる傾向があります。その点はソートオプションで**「引用数が多い順」**に切り替える機能(Most Quoted)で補完できます [4]。総じて、新規トピックの網羅や要点抽出に優れた検索精度です。
  • 使いやすさ: ElicitのUIは一見スプレッドシート風のテーブル形式で、ユニークな設計です。検索すると、質問への回答要約、そして関連論文一覧が表で表示されます [4]。各行が論文で、列にはタイトル・要旨に加え、「被引用数」「研究デザイン」「手法」など追加情報をカスタムで表示可能です [4]。複数の論文を選択して次のステップに進むワークフローも直感的で、例えば興味ある論文を選んで**「次のステップ」に進むと、その論文群の要約比較や、本文からのデータ抽出、さらには選択論文との対話(Chat with papers)までワンクリックで実行できます [4]。操作には若干慣れが必要ですが、慣れると文献レビュー全体をステップバイステップで進められる**強力なツールです [4]。
  • 要約機能: 質問を投げると、Elicitはまず上位4件の論文から推測される回答を一段落の要約として生成します [4]。例えば「Xの効果は?」と問うと、主要論文の結論をまとめ「複数の研究でXには有意な効果が認められたが、一部に例外もある…」といった凝縮回答が示されます。その下に関連論文一覧が続き、各論文の要旨や一部抜粋が見られます。また、任意の論文セットを選んで**「要旨をまとめる」**機能を使えば、複数論文の共通点や相違点を比較したサマリーを生成してくれます [4]。Elicit自身が論文全文を読むわけではなく、基本は要旨ベースですが、オープンアクセスで全文利用可能な場合は詳細な情報抽出も行います [10]。
  • 対応データベース: AI2のSemantic Scholarデータベースを活用しており、全学術分野を幅広くカバーします [10]。医学・工学から人文社会まで主要論文は押さえており、arXivやbioRxivなど主要プレプリントも含まれます [10]。一方、書籍や学位論文、報告書等は含まれません。Closed accessの論文もメタデータと要旨で検索対象となりますが、その場合は詳細回答は得られず要旨情報までとなります [10]。
  • 無料・有料プラン: 現在のところ完全無料で提供されています。ログインなしでも使え、問い合わせ回数制限なども特にアナウンスされていません(将来的に変更の可能性はありますが2025年時点)。資金は助成や寄付で賄われており、誰でも自由に利用できます。
  • その他の特徴: Elicit最大の特徴は**「ステップ式」の文献レビュー支援**でしょう [4]。検索→候補論文選定→要約比較→データ抽出→知見統合、といった一連の流れをひとつのツール内でシームレスに行えます。例えば抽出機能では、選んだ論文の統計量や被験者数などを表形式で抜き出せるので、証拠テーブルを自動生成することも可能です。またElicitはシステマティックレビュー用途の機能拡張も進めており、文献スクリーニングやメタアナリシス支援への応用も模索されています。まさに「研究プロセス全体を支えるAIアシスタント」と言える存在です。

Perplexity

  • 検索精度: Perplexity AIはウェブ全体を対象にした対話型検索エンジンですが、Academicモードを選択することで学術論文・専門資料にフォーカスした検索が可能です [5]。ユーザの質問に対し、AIが複数のウェブ検索結果を横断的に読み込んで回答を生成します [5]。学術モードでは論文や百科事典(Wikipedia)、信頼性の高いデータベースに照準を合わせて情報収集するため、一般検索に比べ科学的な回答精度が向上します。ただし文献データベース専用ではないため、網羅性ではPubMed等に及ばない場合もあります。あくまで「インターネット上で公開されている学術情報」にアクセスする手段と考えると良いでしょう。
  • 使いやすさ: チャットボックスに質問を入力するだけで即座に自然文の回答が得られるという対話型UIは、非常に手軽で直感的です [5]。追加の質問でフォローアップしたり、出典リンクをクリックして詳細を読んだり、まるで人に聞いて調べ物をするような感覚で利用できます。モバイルアプリも提供されており、音声入力による質問や過去の検索履歴の同期なども可能です [5]。専用のフィルターや高度な検索演算子は限定的ですが、その分操作はシンプルで誰でもすぐ使いこなせます。
  • 要約機能: Perplexityの回答そのものがAIによる要約・統合情報です。例えば「〜について教えて」と尋ねれば、関連論文や記事から重要部分を抽出・要約した回答が数段落で返ってきます。回答には引用元が添えられ、根拠を確認できます [5] [5]。また、「〜の論文5本を比較して」といった高度な依頼にも、一問一答の連鎖で対応可能です。ただし特定の論文の詳細要約などは苦手で、その場合はSciSpaceやElicitのような専門ツールのほうが適しています。
  • 対応データベース: オープンなウェブ情報全般が対象です。学術モードではSemantic ScholarやCrossRef、各種出版社サイト、プレプリントサーバ、Wikipedia等から情報を収集しているとみられます。回答に用いられた出典がすべて提示されるため、どのサイトや論文から内容が得られたか透明性が高いです [5]。逆に言えば、インターネット上に情報がない閉鎖的な文献(購読必須の有料論文など)は直接は参照できません。
  • 無料・有料プラン: 基本サービスは無料で無制限に利用できます。無料版では主にGPT-3.5相当の言語モデルで回答が生成されますが、**Pro版(月額20ドル程度)**に加入するとより高性能なGPT-4モデルや、画像認識機能、長文対話、優先アクセスによる高速応答などが利用可能になります [5]。無料でも十分強力ですが、プロユーザは難解な質問への回答精度や応答の長さで差を感じるでしょう。
  • その他の特徴: Perplexityは汎用型AIアシスタントであり、学術以外の質問(ニュース、プログラミング、日常知識)にも幅広く答えられる点が他ツールと一線を画します [4]。一方で学術特化型のElicitやConsensusのような専門機能(研究デザイン情報の一覧表示等)はありません [4]。したがって、まずPerplexityで概況をつかみ、深堀りが必要になったら専門ツールを使う、といった使い分けが考えられます。汎用性と手軽さを重視するユーザに適したサービスです。

Connected Papers

[8] Connected Papersのグラフ画面例:ある論文(中央)を起点に関連文献のクラスターが可視化される。ノードの近さは論文同士の文献リストの共通度合いを表す [6]。

  • 検索精度: Connected Papersは一風変わった検索ツールで、キーワードではなく既知の論文を入力して関連論文のネットワークを生成します。アルゴリズムは共引用(co-citation)や参考文献の重複に基づく 「類似度」 指標を使用し、引用関係が似通った論文同士をグラフ上で近づけて配置します [6]。したがって、直接の引用関係にないが内容的に近い論文群を発見できるのが強みです。網羅性はSemantic Scholarのデータに依存するため完璧ではないものの、主要な関連文献を見落としにくい視覚マップを提供します [7]。特に新規分野に入る際、その分野の代表的論文を1本入力するだけで周辺領域の文献地図が得られるのは有用です。
  • 使いやすさ: グラフ形式というと難しそうに聞こえますが、Connected PapersのUIはシンプルです。中心に入力した「起点論文」が置かれ、その周囲に関連度の高い論文が点で配置されます。点をクリックすればタイトル・要旨・引用数など詳細が右側に表示され、さらにその論文を新たな起点としてグラフを展開することもできます。グラフ下部には年代のバーがあり、古典から最新までの分布も一目で分かります [8]。初めてでも数分触れば直感的に操作でき、論文探しがまるで地図探検のように感じられるでしょう。
  • 要約機能: AIによるテキスト要約機能はありません。各ノード(論文)の要旨は閲覧できますが、それ以上の自動要約は提供されません。Connected Papersは「あくまで関連文献の発見」に特化したツールであり、内容の詳細理解や要約にはユーザ自身が各論文に当たる必要があります。他の要約特化ツールと組み合わせると良いでしょう。
  • 対応データベース: Semantic Scholarの文献データに基づいており、コンピュータサイエンスや物理・生物など幅広い分野をカバーします [7]。しかし全ての論文を含むわけではなく、古いものやマイナーな雑誌の論文は漏れる可能性があります。またデータ更新頻度にも限界があるため、極最近の出版物はグラフに反映されない場合があります。それでも主要な学術領域では十分なカバレッジを持っています。
  • 無料・有料プラン: 無料版では月5つのグラフを生成可能です [7]。通常の使い方では5つで足りる場合も多いですが、頻繁に使う研究者向けには有料プラン(月額数十ドル程度)で無制限アクセスが提供されています。また大学や企業向けのグループライセンスもあります [9]。無料でも機能制限なく使える点は良心的です。
  • その他の特徴: 2021年にはarXivとの連携を発表し、arXivの論文ページからワンクリックでConnected Papersのビジュアルマップに飛べるようになりました [8]。これによりプレプリント段階の最新研究の位置づけも即座に把握できます。またConnected Papersは引用関係そのもの(引用ツリー)ではなく類似度ネットワークを表示する点に注意が必要です [6]。引用の親子関係を詳しく追うには他のツールが必要ですが、全体的なトピック構造把握には最適でしょう。

Research Rabbit

  • 検索精度: Research RabbitはConnected Papersと似た文献マッピングツールですが、よりインタラクティブで強力です [16]。ユーザはまず関心のある論文や著者をいくつかコレクションに追加します。すると、それらを起点に共著者ネットワークや引用ネットワークをAIが解析し、関連する論文や著者を推薦してくれます。アルゴリズムは引用関係とテキスト類似度の組み合わせと言われ、特定分野の重要文献や有力研究者を漏れなく炙り出します。数件の論文を与えるだけで「この組み合わせを引用している別の論文」などを提示してくれるため、新たな繋がりの発見に優れています。
  • 使いやすさ: Webアプリにサインアップして利用します。操作はコレクション(フォルダ)に論文や著者をドラッグ&ドロップで追加していくだけで、関連文献グラフやタイムラインが即座に更新されます [14]。画面左に論文リスト、中央にネットワーク図、右に詳細情報という構成で、最初は情報量が多く感じるかもしれません。しかし目的に応じて視点を切り替え(例えば著者ネットワークで共同研究者を探す、タイムラインで研究の歴史を追う等)、使いこなすことで強力な「文献探索の羅針盤」となります。複数ユーザでコレクションを共有し共同で文献収集することも可能です。
  • 要約機能: 現時点でResearch Rabbit自体に高度な要約生成機能はありません。各論文のタイトル・概要・引用数等のメタデータが得られるにとどまり、本文内容の要約はユーザが読む必要があります。他ツールと違いチャットや要旨自動生成は実装されていません(今後のアップデートで追加される可能性はあります)。したがってResearch Rabbitは探索・発見に注力し、要約や分析はユーザないし他AIに委ねる形です。
  • 対応データベース: Semantic ScholarやCrossRefなどオープンな文献データソースを組み合わせて使用しています。主要分野の主要論文は概ねカバーしていますが、ごく最近の論文についてはデータ反映までラグがある場合があります。著者情報も同データベース由来のため、名前の揺れや所属変遷などで完全ではない部分もあります。それでも実用上は十分広範なデータで、網羅性はConnected Papers同等と考えて良いでしょう。
  • 無料・有料プラン: 2025年現在、完全無料で提供されています。開発元はスタートアップでありつつ、大胆にもフリーミアム制を採っていません。将来的なビジネスモデルは不明ですが、現状ではユーザ登録さえすれば制限なく利用できます。文献アラート等の機能も含め無料なのは研究者にはありがたい点です。
  • その他の特徴: Research Rabbitの秀逸な点は、新着論文アラート著者追跡です。ユーザが作成したコレクションに関連する新規論文が出版されると、自動で検知し週次のメールで通知してくれます [15]。これにより常に最新の文献動向をフォロー可能です。また特定の著者をフォローすれば、その著者の新刊論文も逃しません。まさに「文献のSpotify」のように、自分の関心に基づいて関連する作品のリコメンドや更新通知を受け取れるサービスです。文献調査を単発で終わらせず 継続的な探索 へと変えてくれる点でユニークと言えるでしょう。

その他の注目すべきAI文献ツール

上記以外にも、文献調査に役立つAI搭載ツールがいくつか存在します。

  • Semantic Scholar: Allen Institute for AIが提供する無料の学術検索エンジンです。膨大な論文データから意味検索を行い、主要な論文には自動生成のTL;DR要約も表示します。シンプルなインターフェースながらAIによる関連論文推薦や引用関係の可視化も備えており、汎用性の高いプラットフォームです [4]。
  • scite: 論文の引用文脈に注目したユニークなツールです。引用文がその引用先の結論を支持しているのか反証しているのかをAIで分類し、各論文が後続研究でどう言及されたかを「スマートシテーション」として表示します。10億件以上の引用ステートメントのデータベースを持ち、文献の信頼性評価や系統的なレビューに役立ちます [17] [18]。また最近ではチャットボット型のAIアシスタントを導入し、自社の信頼データに基づいて質問に答える機能も追加されています。
  • Scopus AI: 大手出版社Elsevierは自社の抄録データベースScopusに生成AIを統合した 「Scopus AI」 を2024年に発表しました。27,000誌以上の内容 を学習し、研究トピックの概要を高速にまとめて提示したり、重要論文や主要研究者を自動抽出する機能があります [19] [19]。信頼性の高い限定されたデータに基づくため誤情報が少なく、レビューのスタート地点として価値あるツールです。ただし提供は購読機関向けで一般に自由に使えるものではありません。
  • その他: 文献マップ系ではConnected Papers類似のLitmapsやCitation Gecko、質問応答系ではIris.aiやGalactica(Meta社が試作、現在提供停止)なども話題になりました。またZoteroやEndNoteなど文献管理ソフトにもAI連携が進みつつあります。今後も学術界向けのAIツールは続々と登場するでしょう。

まとめ

文献検索AIツールにはそれぞれ得意分野や特色があります。例えばPubMedは医学文献網羅性と信頼性で欠かせない存在ですし、ElicitConsensusは質問に対する直接的なエビデンス集約に優れています。網羅的な探索にはSciSpaceの統合プラットフォームが便利で、Connected PapersResearch Rabbitは新たな関連性発見や継続的な追跡に役立ちます。 [4]指摘の通り、汎用AIであるPerplexityはこれら専門ツールとは用途が異なり、まず広く情報を俯瞰するのに適しています。

重要なのは、自分の目的に合ったツールを選び組み合わせて使うことです。網羅的に文献を集めたいなら専門DB+AI要約、最新動向を追うならネットワーク型ツール、具体的な疑問があるならQ&A型AI、といった具合に使い分けましょう。AIはあくまでアシスタントであり、最終的な論文の評価・選択は人間の目が必要です。それでもこれらツールを賢く活用すれば、文献探索に費やす時間を大幅に削減し、より創造的な研究活動にリソースを振り向けることができるでしょう。各ツールの特徴を踏まえ、ぜひ文献調査の生産性を向上させてみてください。

参考文献

  1. Fiorini N, Leaman R, Lipman DJ, Lu Z. Artificial intelligence behind the scenes: PubMed's Best Match algorithm. PMC [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8830327/
  2. Consensus AI Reviews: Use Cases, Pricing & Alternatives. Futurepedia [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://www.futurepedia.io/tool/consensus
  3. What is Scispace? Detailed Review of Features, Pricing, and Alternatives. Paperpal [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://paperpal.com/blog/news-updates/scispace-review-features-pricing-and-alternatives
  4. For Those Doing Serious Research Plus a Comparison Platform. Reddit r/perplexity_ai [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://www.reddit.com/r/perplexity_ai/comments/1gzy8pw/for_those_doing_serious_research_plus_a/
  5. What is Perplexity? A Quick Guide to the AI Search Engine. Alitu [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://alitu.com/creator/tool/what-is-perplexity/
  6. Connected Papers: A visual tool for researchers to find and explore academic papers. Reddit r/InternetIsBeautiful [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://www.reddit.com/r/InternetIsBeautiful/comments/gzocju/connected_papers_a_visual_tool_for_researchers_to/
  7. Connected Papers Review 2025: What It Is, How to Use It & Is It Worth It? AIHungry [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://aihungry.com/tools/connected-papers
  8. Connected Papers partners with arXiv: a visual tool to find and explore academic papers. Reddit r/Physics [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://www.reddit.com/r/Physics/comments/lck1ej/connected_papers_partners_with_arxiv_a_visual/
  9. Connected Papers Pricing, Plans and Cost Breakdown for 2025. AIHungry [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://aihungry.com/tools/connected-papers/pricing
  10. Elicit's Source for Papers. Elicit Support [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://support.elicit.com/en/articles/553025
  11. SciSpace: Do hours of research in minutes. Chrome Web Store [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://chromewebstore.google.com/detail/scispace-do-hours-of-rese/cipccbpjpemcnijhjcdjmkjhmhniiick
  12. SciSpace AI Reviews: Use Cases, Pricing & Alternatives. Futurepedia [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://www.futurepedia.io/tool/scispace
  13. SciSpace Premium - Unlimited access to AI research tools. SciSpace [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://scispace.com/pricing
  14. Research Rabbit - Gen AI Literature Review Tools at MIT. MIT Library [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://library.mit.edu.au/c.php?g=973328&p=7083245
  15. ResearchRabbit: Uplift Your Research Adventure Down the Rabbit Hole. HKUST Library [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://library.hkust.edu.hk/sc/researchrabbit/
  16. Research-Rabbit-Overview.pdf. JCU [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://www.jcu.edu.au/__data/assets/pdf_file/0008/1958831/Research-Rabbit-Overview.pdf
  17. AI for Researchers | Scite by Research Solutions. Research Solutions [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://www.researchsolutions.com/scite
  18. scite Search. Scite [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://scite.ai/search
  19. Elsevier unveils Scopus AI for research reviews. Times Higher Education (THE) [Internet]. [cited 2025 Mar 10]. Available from: https://www.timeshighereducation.com/news/elsevier-launches-scopus-ai-bot-literature-reviews

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