AIが医師の診断を支援する時代──医師の役割はどう変わるのか

AIが医師の診断を支援する時代──医師の役割はどう変わるのか

はじめに──「AIに仕事を奪われる」という不安の正体

「AIが進歩したら、医師はいらなくなるのではないか」──こうした声を、患者さんからも医療関係者からも耳にするようになりました。将棋の世界ではAIがプロ棋士を圧倒し、法律文書の作成もAIが代替しつつあります。ならば医療も同じではないか。そう考えるのは自然なことかもしれません。

しかし、日々患者さんと向き合い、臨床の現場でAIを活用している医師の立場から言えば、答えは単純ではありません。AIが医療を大きく変えることは間違いない。しかし医師の役割はなくなるのではなく「変容」するのです。本記事では、医療AIの現状を概観し、AIがもたらす変化のなかで医師に何が求められるようになるのかをお伝えします。

第1章 医療AIは今、どこまで来ているのか

画像診断──AIが最も力を発揮している分野

医療AIが最も実用化の進んでいる分野は画像診断です。CT、MRI、X線、内視鏡画像などをAIが解析し、病変を自動的に指摘するシステムが多くの医療機関で導入されています。FDA(米国食品医薬品局)は2025年時点で950を超えるAI搭載医療機器を承認しており[1]、日本でも2022年の診療報酬改定でAIが「画像診断管理加算3」の要件に組み込まれるなど、制度面の整備も進んでいます[2]

内視鏡画像から早期がんを検出するAI、胸部X線写真から肺炎を見つけるAI、眼底写真から糖尿病網膜症を判定するAI──これらはすでに臨床現場で医師の「もうひとつの目」として機能しています。全身CT画像を10秒以内に解析する救急向けAI「ERATS」のように、一刻を争う場面での活用も始まっています[3]

問診・カルテ作成──事務作業からの解放

画像診断以外にも、AIの活躍の場は広がっています。診療中の医師と患者のやりとりを音声認識で自動テキスト化しカルテに反映させるシステムや、看護記録を音声入力で作成する「看護音声入力生成AI」が実運用を開始した施設もあります[3]。看護師の記録業務は一人あたり1日平均94分とされ[3]、こうした負担をAIが軽減できれば、医療者が患者さんと向き合う時間を確保できるようになります。

診断支援──「セカンドオピニオン」としてのAI

大規模言語モデル(LLM)の登場により、AIはテキスト情報の理解と生成もできるようになりました。症状や検査結果をもとに鑑別診断リストを提示したり、ガイドラインに基づく治療選択肢を提案したりするAIが試験導入されています[4]。患者がAIに症状を入力すると適切な診療科を案内するシステムも、海外では実用化が進んでいます[4]

それでも、導入率はまだ低い

しかし現実はまだ道半ばです。2025年の調査によれば、国内医療機関の72%がAIを「まだ導入していない」と回答しています[5]

医療AI分野 導入率(2025年)
画像診断支援 13.3%
ゲノム医療 9.7%
診断・治療支援 9.1%
手術支援 7.3%
未導入 72%

地域の診療所では94.3%が未導入です[5]。最大の障壁は「費用対効果がわからない」(51%)という経済的な不透明さであり、技術よりも制度や環境の整備が課題となっています[5]

第2章 AIにできること、AIにできないこと

AIの強み──膨大なデータ処理と一貫性

AIの強みは明確です。何万枚もの画像を疲れることなく一定の基準で判定し続けることは人間には困難ですが、AIには可能です。夜勤明けの疲労や外来の混雑に判断力が左右されることもありません。537にものぼる国内の診療ガイドラインをすべて把握し続けることは医師には不可能に近いですが、AIにはさほど困難ではありません[4]

📋 AIの得意分野まとめ
・膨大な画像を一定基準で判定し続ける一貫性
・疲労や時間的制約に左右されない安定した判断力
・最新のガイドラインや文献を常時反映した知識ベース
・反復的な事務作業(カルテ記載・文書作成など)の自動化

AIの限界──「文脈」を読む力、「共感」する力

一方、現在のAIには根本的な限界があります。同じ疾患でも、80歳の独居高齢者と30歳の子育て世代では最適な治療方針は異なります。患者さんの生活背景価値観、人生の歩みを総合的に汲み取って「この方にとっての最善」を考えることは、今のAIにはできません。

さらに、AIは「説明」はできても「共感」はできません。がん告知を受けた患者さんの沈黙の意味を読み取ること、言葉にならない不安を察すること──これらは人間にしかできない営みです。

加えて「責任の所在」の問題もあります。AIの判断が誤った場合に誰が責任を取るのか。最終判断と責任を人間の医師が担う構造は当面変わりません[6]

また、深層学習AIには「ブラックボックス」問題があります。米国デューク大学病院の敗血症予測AI「Sepsis Watch」では、AIがアラートを出しても根拠が不明瞭なため医師が適切に活用できないケースが報告されました[7]。技術的に優れたAIも、人間が信頼し活用できなければ意味がないのです。

⚠️ AIの限界を知ることの重要性
AIは統計的パターンに基づく判断は得意ですが、個々の患者の「人生の文脈」を理解することはできません。AIの出力を過信せず、臨床的判断と組み合わせることが不可欠です。

第3章 AI時代に医師の役割はどう変わるのか

「知識の番人」から「意味の翻訳者」へ

これまで医師は専門知識の「門番」でした。しかしAIがその知識を代替できるようになった今、求められる役割は変わりつつあります。ある医学雑誌の特集では、これからの医師には「問題解決のOS(知能)」だけでなく「意味を汲み取るOS(意識)」が必要だと指摘されています[8]

AIが「5年生存率は〇〇%」と提示したとき、その数字をそのまま伝えるだけでは不十分です。それがこの患者さんの人生にどう影響するのか、どんな選択肢があるのか──そうした「意味の翻訳」こそが、AI時代の医師の核心的な役割になります。

「チームの指揮者」としての医師

医療はすでに医師一人で完結しません。看護師、薬剤師、理学療法士、ソーシャルワーカーのチームにAIが加わる時代です。医師はAIの情報を咀嚼し、各専門職の知見と統合し、患者の意向を踏まえた方針を導く「指揮者」の能力が求められます[9]。AIを盲信するのでも否定するのでもなく、「使いこなす」力が問われるのです。

「共感者」としての医師

患者さんが最も求めるのは、正確な情報だけではありません。自分の苦しみをわかってくれる存在、つまり「共感」です[9]。AIが診断を補助してくれるからこそ、医師はその分の時間と心のリソースを患者さんとの対話に充てられます。

一方、患者さん自身がAIで情報を得る時代には、「この先生はAIが言っていたことを言わない」と疑われることもあり得ます[10]。情報を共有し、対等なコミュニケーションのなかで治療方針を決める関係性が、これまで以上に大切になります。

📋 AI時代の医師に求められる4つの役割
① 意味の翻訳者:AIのデータを患者の人生の文脈に落とし込む
② チームの指揮者:AI・多職種の情報を統合し最善の方針を導く
③ 共感者:患者の苦しみに寄り添い、ともに悩む
④ 倫理的判断者:アルゴリズムでは答えが出ない問いに向き合う

「倫理的判断者」としての医師

延命治療を続けるか、緩和ケアに切り替えるか。限られた医療資源をどう配分するか。こうした倫理的判断はアルゴリズムには委ねられません。AI時代の医師には、医学に加えて倫理学哲学といった人文科学的素養がこれまで以上に求められるでしょう[9]

第4章 患者さんにとって医療はどう良くなるのか

AIの導入で最も恩恵を受けるのは患者さんです。微小な病変のAI検出によりがんの早期発見率は向上し、専門医の少ない地域でもAIが画像診断を支援することで医療格差の縮小が期待されます[2]。事務作業のAI代替により待ち時間が短縮され、医師が一人ひとりにかけられる時間が増えることも大きな変化です。

⚠️ 患者さんへの注意点
・AIが「問題なし」と判断しても、体に違和感があれば必ず医師に相談しましょう
・インターネット上の一般的なAIチャットと、医療用に承認されたAIは根本的に異なります
・AIの情報はあくまで「参考」であり、最終的な判断は医師と相談のうえで行うことが大切です

第5章 未来を見据えて

医師に求められる新しいスキル

AI時代の医師には、AIの仕組みと限界を理解する「AIリテラシー」、データを患者にわかりやすく伝える「コミュニケーション能力」、そしてAIの情報・患者の訴え・社会的背景のすべてを統合する「統合的判断力」が不可欠です[6]

医学教育も変わる必要があります。知識の暗記よりも、AIの出力を解釈する能力、患者中心のコミュニケーション、倫理的思考力の育成が柱になるべきでしょう[9]

AI時代に求められる医師のスキル一覧(クリックして展開)
スキル領域 具体的内容
AIリテラシー AIの仕組み・限界の理解、出力の批判的評価、適切な活用判断
コミュニケーション AIのデータをわかりやすく伝える力、共感的傾聴、Shared Decision Making
統合的判断力 AI出力・身体所見・患者の意向・社会的背景を統合した意思決定
倫理的思考力 正解のない問いへの向き合い方、患者の価値観の尊重、公正な資源配分
多職種連携力 AIを含むチーム全体のマネジメント、情報共有とリーダーシップ

社会制度としての備え

AIが関与した医療事故の責任の所在、アルゴリズムの透明性確保、患者データのプライバシー保護──こうした課題について社会全体で議論を深める必要があります[11]。AIの恩恵を大規模病院だけでなく地域医療にも届ける施策も重要です。AIが医療格差を解消するのか新たな格差を生むのかは、技術ではなく社会の選択の問題です。

おわりに──AIは「敵」ではなく「最良のパートナー」

AIは聴診器やCTスキャンと同じ「道具」です。聴診器の登場で医師が不要になったわけではなく、むしろ能力が拡張されました。AIも同様です。世界医師会(WMA)アメリカ医師会(AMA)もAIを「Augmented Intelligence(拡張知能)」と位置づけ、医師との協働を推奨しています[12]

📋 この記事のまとめ
・医療AIは画像診断を中心に急速に実用化が進んでいるが、国内導入率はまだ約3割にとどまる
・AIは膨大なデータ処理に優れる一方、患者の「文脈」の理解や「共感」は人間にしかできない
・AI時代の医師には「意味の翻訳者」「チームの指揮者」「共感者」「倫理的判断者」としての役割が求められる
・AIは医師の仕事を奪う「敵」ではなく、能力を拡張する「最良のパートナー」である

AIに仕事を奪われるのではなく、AIを上手に活用する医師が、そうでない医師に取って代わる──これが最も現実的な未来像でしょう。

そしてその未来で患者さんにとって大切な存在であり続けるために、医師は技術を超えた「人間としての力」──共感し、寄り添い、ともに悩む力──を磨き続けることが何より重要です。AIが優秀であればあるほど、最後に患者さんが求めるのは人間の医師の言葉であり、まなざしであり、存在そのものなのだと、日々の臨床で実感しています。

参考文献

1 今アツい「医療AI」、アップル・エヌビディア・グーグルも参戦「5兆円市場」の最前線. ビジネス+IT 2025年9月. https://www.sbbit.jp/article/cont1/171253
2 先進ITで描く2025年の展望|医療AIが変える患者体験の未来. IBM Japan 2025年. https://www.ibm.com/jp-ja/think/insights/ic-healthcare-life-sciences-pov-02
3 【独自視点】2025年下半期 医療・製薬業界AIニュースまとめ. メンバーズメディカルマーケティングカンパニー 2025年12月. https://www.members-medical.co.jp/blog/medical/2025/1210/10396/
4 医療におけるAI応用の現状と将来. 一般財団法人日本経済研究所. https://www.jeri.or.jp/survey/202512-202601_20/
5 医療AIの導入が進んでいない現状~データからひも解く医療AIの導入率と課題、解決への動向~. 株式会社ヒューマンサイエンス. https://www.science.co.jp/annotation_blog/42367/
6 AIで医師の仕事はどう変わるか?AI時代に生き残る医者に求められるスキルを考察. ワンドクター 2025年8月. https://one-doctor-cmic.com/doctor-ai-skill
7 AIだけでは患者は救えない:医師の理解とコミュニケーションを促す仕組みづくりの重要性. WIRED.jp 2020年10月. https://wired.jp/2020/10/16/ai-help-patients-doctors-understand/
8 「AI時代の医師に求められる資質」──意味を編みなおす力(総合診療2022年3月号 特集より). 杉本正毅. https://note.com/m_sugimoto/n/n09de76827366
9 AI(人工知能)と医師 ―田端Drコラム2021年10月―. 耳原鳳クリニック. https://www.mimihara.or.jp/otori/column/48/
10 医療の世界が大きく変革——AIは医師の補佐役になれるか. healthist. https://healthist.net/medicine/3904/
11 医療AIの現状と今後の展望. 株式会社ヒューマンサイエンス. https://www.science.co.jp/annotation_blog/41025/
12 AI時代に求められる医師とは? 〜シンギュラリティ前後で考えてみた〜. 原瀬. https://note.com/shohei918/n/n11f260f1a732

医療費48兆円時代の資源配分論|「誰を助けるか」高齢者・終末期医療の費用対効果

「誰を助けるか」を問い直す ― 医療費48兆円時代の資源配分論

「誰を助けるか」を問い直す ― 医療費48兆円時代の資源配分論

「医療資源の配分」という言葉を聞いて、多くの人はどこか遠い政策論議の話だと感じるかもしれない。しかし、立ち止まって考えてみてほしい。救急車の到着を待つ間の数分間、がん治療の新薬が高額ゆえに使えない患者の沈黙、地方の病院で夜間に専門医がいない現実――これらはすべて、す

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医療費48兆円時代の資源配分論|「誰を助けるか」高齢者・終末期医療の費用対効果

序論 ― 沈黙の配分は、すでに行われている

「医療資源の配分」という言葉を聞いて、多くの人はどこか遠い政策論議の話だと感じるかもしれない。しかし、立ち止まって考えてみてほしい。救急車の到着を待つ間の数分間、がん治療の新薬が高額ゆえに使えない患者の沈黙、地方の病院で夜間に専門医がいない現実――これらはすべて、すでに「配分」が行われていることの証左である。

問題は、その配分が意識的な議論と合意に基づいて行われているのか、それとも無自覚のまま構造的に生じているのか、という点にある。本稿は、増え続ける日本の医療費を前にして、「限りある医療資源をどう分かち合うか」という問いに、倫理的・実践的に向き合うことを試みるものである。

この問いは、医療従事者だけのものではない。医療費の財源は、国民が納める保険料と税金、そして患者自身の窓口負担によって成り立っている。つまり、すべての市民がこの配分の当事者なのだ。

📋 本稿の立場
本稿は特定の政策を推奨するものではなく、医療資源配分という困難な問いについて多角的に考えるための素材を提供するものである。「正解」を示すのではなく、「問い」を共有することが目的である。

数字が語る現実 ― 膨張する医療費の構造

過去最高を更新し続ける国民医療費

2024年度の概算医療費は48.0兆円に達し、4年連続で過去最高を更新した[1]。また、2023年度の国民医療費は48兆915億円であり、人口一人当たりでは38万6,700円と、やはり過去最高を記録している[2]

この数字を実感として捉えるために、少し別の角度から見てみよう。国民医療費のGDP比は約8.2%に上昇している[3]。国家予算の一般会計が約117兆円であるのに対し、社会保障給付費全体は約140兆円を超えると推計されている[4]。医療は「国のかたち」そのものに深く関わる問題なのである。

高齢化が描く指数関数的な曲線

医療費の構造を年齢階級別に見ると、問題の核心が浮かび上がる。65歳以上の医療費は28兆8,806億円で全体の約6割を占め、75歳以上(後期高齢者)は19兆1,503億円で全体の約4割に達している[2]。一人当たり医療費で見ると、65歳未満が21万8,000円であるのに対し、65歳以上は79万7,200円75歳以上では95万3,800円と、約4.4倍の差がある[2]

2024年度にはついに、75歳以上の医療費が全体の40%を超えた[1]。団塊の世代が後期高齢者に移行しつつある現在、この傾向はさらに加速する。

指標 現在の数値 2040年推計
社会保障給付費 約140兆円(2025年度) 約190兆円
高齢者割合(65歳以上) 約30% 約35%
現役世代の支え 高齢者1人を約2.1人で支える 約1.7人で支える
生産年齢人口 約7,400万人 約6,000万人

表:日本の社会保障の現在と将来推計(厚生労働省資料等より作成)[4][5]

財源の三本柱と、その限界

国民医療費の財源は、社会保険料(約50.2%)、公費(約37.5%)、患者負担等(約12.3%)の三本柱で構成されている[2]。保険料は被保険者と事業主が分担し、公費は国庫と地方自治体がそれぞれ負担する。この構造が意味するのは明快である。医療費が1%増えるごとに、約4,800億円の追加財源が必要となり、そのおよそ半分が社会保険料の上昇として現役世代にのしかかる[6]

この現実は、資源配分の議論を「あったらいいな」という理想論から、「避けて通れない」切実な課題へと変える。打ち出の小槌は、どこにもないのだ。

⚠️ 2025年問題から2040年問題へ
2025年に団塊の世代が全員75歳以上となる「2025年問題」は、実は序章に過ぎない。2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者人口がピークを迎える。社会保障給付費は約190兆円に膨張すると見込まれており、現行制度のままでは持続が極めて困難である[4][5]

三つの正義 ― 資源配分をめぐる倫理的座標軸

医療資源の配分を考える際、私たちは無意識のうちに何らかの「正義」の基準を用いている。ここでは、この議論を整理するために、倫理学で論じられてきた三つの代表的な立場を概観する。いずれの立場にも説得力があり、同時に限界がある。重要なのは、どれか一つを選ぶことではなく、それぞれの視点を理解したうえで、具体的な文脈に応じた判断を重ねることである。

功利主義的アプローチ ― 「最大多数の最大幸福」

功利主義は、社会全体の利益の総和を最大化することを善とする。医療資源配分においては、QALY(質調整生存年)の概念がその代表格である[7]。QALYは、生活の質(QOL)で調整した余命を指標として用い、限りある医療費を「一単位の健康利得あたりの費用」が最も小さい介入に優先的に振り向けることを合理的とする。

イギリスのNICE(国立医療技術評価機構)は、1QALYあたりの費用が一定額を超える医療技術に対して、原則として公的保険での採用を推奨しないという明確な基準を設けている。こうしたアプローチには「透明性」と「効率性」という利点がある。

しかし、功利主義には本質的な危うさが伴う。「社会全体の利益」を追求するあまり、少数者の権利が後回しにされるリスクがある。高齢者や重度障害者の余命や生活の質が低く見積もられた場合、結果として「助かる見込みが高い人」だけが優先され、脆弱な立場にある人々が構造的に排除される可能性があるのだ。ここには、「誰が『質』を評価するのか」という根源的な問いが横たわっている。

平等主義的アプローチ ― 「公正としての正義」

哲学者ジョン・ロールズは、社会制度のあり方を考える際、自分がどのような境遇に生まれるかわからない「無知のヴェール」に覆われた状態で合意される原則こそが正義であると論じた[8]。この思想を医療に適用すれば、「最も不利な立場にある人々の状況を最大限に改善する」ことが正義にかなうということになる。

日本の国民皆保険制度は、まさにこの平等主義的理念の具現化である。所得や社会的地位にかかわらず、誰もが必要な医療にアクセスできるという原則は、日本の医療制度の最大の美点であり、国際的にも高く評価されてきた。

しかし、「全員に等しく」を徹底すれば、増大する需要に対して資源は際限なく必要になる。無限の平等は、有限の世界では実現不可能であるという冷厳な事実に、私たちは向き合わなければならない。形式的平等を追求するあまり、実質的な医療の質が全体として低下するとすれば、それは別の意味での「不正義」ではないか。

自由至上主義的アプローチ ― 「自己決定と市場原理」

哲学者ロバート・ノージックの流れをくむ自由至上主義は、個人の自由と所有権を最も重視する。この立場からは、医療も基本的に市場メカニズムに委ねるべきであり、各人が自らの判断と資力に応じて医療を選択するのが最も正当だということになる。

アメリカの医療制度は、この立場に比較的近い。自由度と選択肢は確保されるが、その代償として約2,800万人が無保険状態にあり、医療へのアクセスに著しい格差が生じている。医療費総額もGDP比で約18%と突出しており、自由が効率を生むという前提は、少なくとも医療の領域においては必ずしも成り立たないことを示唆している。

📋 三つの正義の比較
功利主義:社会全体の効率を重視 → 少数者の犠牲を正当化しうる危険
平等主義:公正なアクセスを重視 → 資源の有限性との衝突
自由至上主義:個人の選択を重視 → 経済格差による医療格差を容認

いずれか一つの原理で医療資源配分を完結させることはできない。現実の制度設計は、これらの原理を状況に応じて組み合わせる「混合型」とならざるをえない。

「命の選別」か「命を守る知恵」か ― トリアージの教訓

パンデミックが突きつけた問い

2020年以降のCOVID-19パンデミックは、医療資源配分の問題を観念的な議論から一挙に現実の臨床現場へと引きずり出した[9]。人工呼吸器やICUベッドが不足する局面で、「誰を優先して治療するか」という判断を迫られた医療者たちの苦悩は、記憶に新しい。

2020年3月には、生命・医療倫理研究会有志によって「COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言」が公表された[10]。この提言は、救命の可能性が高い患者を優先するという災害トリアージの理念に基づきつつ、いくつかの重要な原則を示した。性別・人種・社会的地位・保険の種類による順位づけは差別であり絶対に行ってはならないこと、判断は医療チームで行い記録を残すこと、そして公正で透明性のあるプロセスの重要性である。

障害者団体からの批判が問うもの

しかし、この提言は公表直後から障害者団体をはじめとする各方面から厳しい批判を受けた[9]。批判の核心は、「生存可能性」を基準にすること自体が、重い病気や障害を持つ人々を構造的に不利にするという点にあった。「助かる見込みが低い」と判断される人々の多くは、もともと脆弱な立場にある。その判断基準が「科学的」に見えたとしても、そこには社会が無意識に内面化してきた偏見が反映されている可能性がある。

この批判は、功利主義的な配分原理に対する根本的な問いかけである。効率性の名のもとに、ある人々の生存が軽んじられることは正義と言えるのか。この問いに、安易に「はい」とも「いいえ」とも答えることはできない。

日常診療にも存在する「静かなトリアージ」

見落としてはならないのは、パンデミック時の劇的なトリアージだけが資源配分の問題ではないということだ。日常の臨床現場でも、「静かなトリアージ」は絶え間なく行われている。外来の予約枠が限られる中で次の患者を何週間待たせるか、高額な新薬を処方するかジェネリックにとどめるか、地方の病院で専門外の疾患にどこまで対応するか。こうした一つひとつの判断が、実質的には医療資源の配分に他ならない。

問題なのは、こうした日常の配分が、明示的な基準や社会的合意に基づいて行われているのではなく、現場の医療者の「暗黙の判断」に委ねられていることが多い点である。その負荷は、本来、社会全体で引き受けるべきものだ。

日本型モデルの模索 ― 具体的処方箋を考える

以上を踏まえ、日本が取りうる方向性について考察する。いずれも万能の解決策ではなく、それぞれにトレードオフが存在する。しかし、複数のアプローチを組み合わせることで、全体としての持続可能性と公正性を高めることは可能であろう。

「予防」と「健康寿命の延伸」への投資転換

最も本質的な処方箋は、医療資源の配分を「治療」から「予防」へと重心を移すことである。健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されない期間)と平均寿命の差は、男性で約9年、女性で約12年にも及ぶ[11]。この差を縮めることができれば、高齢期における医療費は大幅に抑制される。

厚生労働省は2040年までに健康寿命を男女とも3年以上延伸する「健康寿命延伸プラン」を策定している[11]。生活習慣病の予防、フレイル(虚弱)対策、社会参加の促進といった施策は、一見すると地味だが、長期的に見れば最も費用対効果の高い「配分」の転換である。予防に1円を投じることは、将来の治療費の何倍もの節約につながるという知見は、公衆衛生学において繰り返し示されてきた。

「地域医療構想」による提供体制の最適化

日本の医療費には西高東低の地域差が知られている。都道府県別の一人当たり医療費を見ると、最高の高知県と最低の埼玉県の間には1.44倍の格差がある[12]。この差の主要因の一つとして、病床数の多寡が指摘されている。ベッドが多い地域では入院期間が長くなり、結果として医療費が膨張するのである。

新たな地域医療構想では、急性期・回復期・慢性期の病床機能の分化と連携、在宅医療との一体的な整備が議論されている[6]。これは、限られた医療資源を効率的に「再配置」する試みであり、単に病床を削るのではなく、地域のニーズに合った医療提供体制を構築するという積極的な意義を持つ。ある試算によれば、病床数の適正化だけで約2兆円の医療費削減が見込めるという[6]

医療技術評価(HTA)の導入と透明化

新しい医薬品や医療機器を公的保険で使えるようにするかどうかの判断に、HTA(Health Technology Assessment:医療技術評価)を体系的に取り入れることも重要な方向性である。日本でも2019年度から費用対効果評価制度が導入され、一部の高額医薬品等に対してQALYを用いた評価が行われるようになった。

ただし、HTAの運用には細心の注意が必要である。費用対効果が低いとされた治療でも、それを必要とする患者が確かに存在する。評価基準の設定自体が価値判断を含んでおり、その決定プロセスが不透明であれば、「合理性」の衣をまとった排除になりかねない。HTAを導入するのであれば、その判断基準、評価プロセス、そして例外規定のあり方について、広く国民的な議論を経ることが不可欠である。

「かかりつけ医」制度の実質化とゲートキーパー機能

日本はいわゆる「フリーアクセス」を特徴としてきた。患者がどの医療機関でも自由に受診できるこの仕組みは、国民の利便性を高めてきた一方で、大病院への患者集中、重複受診、非効率な検査の繰り返しといった資源の浪費も生んでいる。

かかりつけ医制度を実質的に機能させることは、一次医療でのゲートキーパー(門番)機能を強化し、限られた専門医療資源を真に必要な患者に集中させるための重要な仕組みである。イギリスのGP(General Practitioner)制度やオランダの家庭医制度がその先行例として参考になる。ただし、これは患者の選択権を制限する側面もあるため、国民の理解と合意が前提となる。

テクノロジーの活用 ― AIと遠隔医療

AI(人工知能)は、限られた医療資源をより効率的に活用するための強力なツールとなりうる。画像診断の補助、患者のリスク層別化、最適な治療法の提案などにおいて、すでに臨床応用が始まっている。遠隔医療も、特に医療過疎地域における専門医へのアクセス改善に大きな可能性を持つ。

しかし、テクノロジーへの過度な期待は禁物である。AIは過去のデータから学習するため、既存の医療格差やバイアスを再生産するリスクがある。また、遠隔医療が対面診療の「安上がりな代替」として位置づけられるならば、それはかえって医療の質の格差を固定化しかねない。テクノロジーは、あくまで人間の判断を支援する道具であり、配分の公正さを保証するものではないことを銘記すべきである。

補足:諸外国の医療資源配分アプローチ(クリックして展開)

イギリス(NHS):NICEによるHTAが制度的に確立されており、費用対効果に基づく配分が行われている。一方で、待機時間の長さが深刻な問題となっている。

ドイツ:疾病金庫(保険者)間の競争とリスク構造調整を通じて、効率性と平等性の両立を模索している。

アメリカ:市場原理に基づく医療制度で、メディケア・メディケイドという公的プログラムを持ちつつも、アクセスの格差が大きい。オレゴン州の「優先リスト」(1994年)は、明示的な配分基準を設けた先駆的な試みとして知られる。

いずれの国の制度も完全ではなく、日本が「正解」を輸入することはできない。しかし、他国の経験から学ぶことで、議論の解像度を高めることは可能である。

医療者として、市民として ― 対話の場をひらく

なぜ「対話」が必要なのか

医療資源の配分は、専門家だけで決められる問題ではない。なぜなら、配分の基準は必然的に「どのような生を価値あるものと見なすか」という根源的な価値判断を含んでおり、それは民主主義社会においては市民全体で共有すべき問いだからである。

ロールズの「無知のヴェール」の思考実験は、ここでも有効である。自分がいつ重篤な病気にかかるかわからない、自分がいつ高齢者になるか(これは確実に訪れる)、自分がいつ医療過疎地域に住むことになるかわからない。そうした不確実性のもとで、「それでも受け入れられる」と合意できる配分原則はどのようなものか。この問いを、社会全体で考え続ける必要がある。

医療者に求められる「二重の役割」

医療者は、目の前の患者の最善を追求する「患者のアドボケイト(代弁者)」であると同時に、社会全体の医療資源を預かる「スチュワード(管理者)」でもある[13]。この二つの役割はしばしば緊張関係に立つ。

ある患者に高額な治療を施すことが、その患者にとっては最善であっても、同じ財源で複数の患者に基本的な医療を提供できたはずだとすれば、社会全体としての最善とは言えないかもしれない。この葛藤を一人の医療者に背負わせることは、倫理的にも心理的にも過重な負担である。制度的な支援――明確なガイドライン、倫理コンサルテーション体制、そして社会的合意――が不可欠である。

市民に求められる「受益者意識からの脱却」

一方、市民にもまた、発想の転換が求められている。医療を「消費するサービス」として捉える受益者意識から、「共に支え合う社会制度」として捉える当事者意識への移行である。

「お薬はいつもの出しておいてください」「念のためCTを撮ってほしい」「とりあえず救急車を呼んでおこう」――こうした言葉は日常的だが、その一つひとつが医療資源を消費していることへの自覚が、社会全体として求められる。もちろん、患者の受診を萎縮させることがあってはならない。しかし、「限られた資源の中で最善を追求する」という意識を医療者と市民が共有することは、制度の持続可能性にとって不可欠の基盤である。

📋 「Shared Decision Making」の拡張
個々の診療場面における「共同意思決定(Shared Decision Making)」の理念を、社会全体の資源配分の議論にも拡張できないだろうか。すなわち、医療者・患者・市民が対等な立場で、データと価値観を共有しながら、配分のあり方を議論し合意形成を図るプロセスである。これは理想論かもしれないが、少なくとも目指すべき方向性としては正しいと考える。

結語 ― 有限性を引き受ける勇気

本稿で論じてきたように、医療資源の配分は、数字の問題であると同時に倫理の問題であり、制度の問題であると同時に一人ひとりの生き方に関わる問題である。

この問題に「唯一の正解」はない。功利主義が示す効率性は、平等主義が守ろうとする公正さと衝突する。個人の自由を尊重すれば、社会的弱者のアクセスが脅かされる。予防への投資は長期的には合理的だが、今この瞬間に治療を必要としている患者の前では説得力を持たない。

それでも、私たちはこの問いから目をそらすべきではない。むしろ、「有限性を引き受ける勇気」こそが、持続可能な医療を実現するための出発点である。

日本の国民皆保険制度は、「誰もが、いつでも、どこでも、必要な医療を受けられる」という理念のもとに築かれた世界に誇るべき社会的達成である。この制度を次の世代に引き継ぐためには、制度を所与のものとして消費するのではなく、市民一人ひとりが制度の担い手として、その持続可能性に責任を持つ必要がある。

医療者は、日々の臨床のなかで資源配分の判断を下し続けている。その判断が孤独で恣意的なものにならないよう、社会的な議論と合意形成の枠組みを整備すること。そして、市民は、自分自身がいつか「配分される側」になりうるという想像力を働かせつつ、「それでも公正だ」と言える制度を共に設計すること。

それが、48兆円という数字が私たちに突きつけている、本当の問いに対する応答の第一歩だと、筆者は考える。

「医療において最も困難な決断は、何ができるかではなく、何をすべきかを決めることである」
――アトゥール・ガワンデ(外科医・公衆衛生研究者)

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参考文献・出典

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2 3 厚生労働省. 令和5(2023)年度国民医療費の概況. 2025. [Link]
4 5 厚生労働省. 今後の社会保障改革について ―2040年を見据えて―. 2019. [Link]
6 谷口智明. 国民医療費は過去最高の48兆円超に ~医療費の地域差是正の鍵「病床数の適正化」で約2兆円削減も~. 第一生命経済研究所. 2025. [Link]
7 Williams A. The value of QALYs. Health and Social Service Journal 1985; 3-5. [PubMed]
8 Rawls J. A Theory of Justice. Cambridge, MA: Harvard University Press, 1971.(ジョン・ロールズ著, 川本隆史ほか訳.『正義論 改訂版』紀伊國屋書店, 2010.) [Link]
9 COVID-19有識者会議. コロナ禍での医療資源配分をめぐる問い ―人工呼吸器の配分とトリアージ―. 日本医師会. 2021. [Link]
10 生命・医療倫理研究会有志. COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言. 2020. [Link]
11 厚生労働省. 健康寿命延伸プラン. 2019. [Link]
12 厚生労働省保険局調査課. 令和5年度(2023年度)医療費(電算処理分)の地域差分析. 2025. [Link]
13 島内明文. 政治哲学の諸理論. In: 赤林 朗, 児玉 聡 編. 入門・医療倫理III:公衆衛生倫理. 東京:勁草書房, 2015. [Link]

【徹底解説】救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン(パブリックコメント版)

【徹底解説】救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン(パブリックコメント版)

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【徹底解説】救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン(パブリックコメント版)

⚠️ 本記事の対象はパブリックコメント版です
本記事で解説するガイドラインは、2026年2月27日に公表されたパブリックコメント募集版(For Public Comments)であり、最終確定版ではありません。今後、寄せられたパブリックコメントを踏まえて内容が修正・変更される可能性があります。最終版の公表時には改めてご確認ください。

2014年の旧ガイドライン発行から10年以上を経て、日本集中治療医学会日本救急医学会日本循環器学会に新たに日本緩和医療学会が加わり、4学会合同でガイドラインの改訂作業が進められてきました。2026年2月27日、そのパブリックコメント版が公表され、広く意見が募集されています。本記事では、このガイドライン案の全体像と臨床現場への影響を徹底解説します。

1. ガイドライン改訂の概要と背景

2014年に日本集中治療医学会日本救急医学会日本循環器学会の3学会が「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン ~3学会からの提言~」[1]を発行してから10年以上が経過しました。この間に生命維持治療は大きく進歩し、重篤な患者の生命を維持することが可能となった一方で、その生命維持治療が必ずしも本人の望む生き方と一致しないという新たな倫理的課題が浮き彫りになりました。

こうした時代の変化に対応するため、前述の3学会に日本緩和医療学会が加わり、4学会合同で新たなガイドラインの策定が進められ、2026年2月27日にパブリックコメント版として公表されました。

📋 ガイドライン案の基本情報
正式名称:救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン
現在の状態:パブリックコメント募集中(2026年2月27日公表)
参加学会:日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本循環器学会、日本緩和医療学会
作成方法:修正デルファイ法[3]による合意形成(全項目100%合意達成)
準拠するもの:厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」[2]

2. 旧ガイドラインからの主な変更点

今回の改訂では、旧ガイドラインから複数の重要な変更が行われています。

項目 旧ガイドライン(2014年) 新ガイドライン案(パブコメ版)
タイトル 「終末期医療に関するガイドライン」 生命維持治療の終了/差し控えに関するガイドライン」
参加学会 3学会(集中治療・救急・循環器) 4学会(+日本緩和医療学会)
「終末期」の定義 定義あり(救命の見込みがないと判断される時期) あえて「終末期」を定義しない
意思決定プロセス 終末期の判断→延命措置への対応 臨床倫理的検討+SDMの二本柱
TLT 記載なし 期限付きの特定の治療の試行を明記
緩和ケア 「緩和的措置」に触れる程度 緩和ケア別編を新設し具体的に記述
用語 「延命治療」「中止」等の用語を使用 生命維持治療」「終了/差し控え」に統一
⚠️ 注目すべきポイント
旧ガイドラインでは「終末期」を「適切な治療を尽くしても救命の見込みがないと判断される時期」と定義していましたが、新ガイドラインではあえて「終末期」を定義していません。これは、生命維持治療の進歩により「救命の見込みがない」という従来の枠組みでは捉えきれない倫理的課題が生じているためです。

3. 基本的な考え方

本ガイドラインの根底にある考え方を整理します。

「終末期」を定義しない理由

生命維持治療が進歩した現在、重篤な患者の生命を維持すること自体は可能になりました。しかしその治療が必ずしも本人の望む生き方と一致しないという新たな課題が生じています。そのため本ガイドラインでは「終末期」を定義せず、救急・集中治療の現場で生命維持治療終了/差し控えが考慮される患者について、多職種からなる医療・ケアチームがどのように検討し、患者にとって最善となる意思決定を行っていくか、そのプロセスを提示しています。

意思決定の基本原則

意思決定に関しては、厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」[2](厚労省プロセスガイドライン)に準拠するとされています。これが国の推奨する考え方ならびに手順であり、救急・集中治療の現場で生命の危機に直面している場合の意思決定の手順としても参考となるためです。

📋 「生命維持治療」の定義(注釈1より)
生命維持治療とは、医療従事者が患者の生命を維持するのに必要とみなす治療を指します。人工呼吸器循環補助装置といった生命維持装置に限らず、昇圧薬ペースメーカー人工栄養・水分補給透析療法等の血液浄化輸血輸液等も状況によって生命維持治療となり得ます。治療が「生命維持」にあたるかどうかは行為の形からのみ判断されるのではなく、実施される状況にもよるとされています。

4. 生命維持治療終了/差し控えを判断するためのプロセス

重篤な状態により集中治療室等で生命維持治療を要する患者において、その治療が大きな苦痛を伴うにもかかわらず患者が望むような結果につながらないと考えられる時、医療・ケアチームは患者にとって最善の治療・ケアのゴールについて再検討し、その選択肢として生命維持治療終了/差し控えについて考慮し始めます。

判断のためには、以下の2つのプロセスを適切に行う必要があります。

プロセス 内容
(1)医療・ケアチームによる臨床倫理的な検討 医学的側面、患者の意向、QOL、周囲の状況を多角的に検討
(2)患者・家族等との共同意思決定(SDM) 厚労省プロセスガイドラインに沿った、患者の意思を基本とした意思決定
📋 「治療・ケアのゴール」の定義(注釈3より)
治療・ケアのゴールとは、患者の価値観や優先順位に基づいた治療方針の指針になるものです。例えば「退院して社会復帰すること」「残された時間をできるだけ苦痛なく過ごすこと」等が挙げられます。

5. 医療・ケアチームによる臨床倫理的な検討

生命維持治療の終了/差し控えが選択肢に挙がる場合、短時間で心停止となることもあるため、患者の診療に携わる医療・ケアチーム全体で、その選択肢が臨床倫理的に妥当であるかを多角的に検討する必要があります。

多職種参加と心理的安全性

その患者の診療に携わるすべての診療科、多職種の医療・ケア従事者が関わることが望ましいとされています。また、長期間にわたり診療を受け、治療方針について話し合ってきたかかりつけ医在宅医療従事者等にも積極的に話し合いに参加してもらいます。

⚠️ 重要な視点
従来、治療・ケアのゴールの決定は医師の意見による決定となりがちでしたが、本ガイドラインでは、その患者に関わるすべての医療・ケア従事者は公平に発言の機会が保証され、話し合うことを可能にするための心理的安全性が確保される必要があると明記されています。

臨床倫理的検討の4つの観点

「臨床倫理的な検討」とは、患者の全体像を把握するために、以下の4つの側面の情報をもれなく話し合うことです。

観点 検討内容
① 医学的側面 診断や予後、治療の有効性と限界を客観的に評価。各疾患の専門家による見解を踏まえる
② 患者の意向 意思表示が可能な場合は本人の意向を確認。困難な場合はACPの記録(事前指示書を含む)を確認。それもない場合は患者の価値観に基づき意思を推定
③ QOL(生活・人生の質) 患者の望む生活・人生の質を知り、どのように担保するかを検討
④ 周囲の状況 家族の価値観や介護力、社会的・文化的背景、法制度や病院体制を含めた環境要因を考慮

この際、医療者側の偏見を排除し、4つの観点すべてを網羅しながら検討を進めることが不可欠です。

臨床倫理的検討に役立つツール

ガイドラインでは以下のツールが紹介されています。

  • Jonsenの4分割法[4][5]
  • 臨床倫理検討シート[6]
  • 臨床倫理の4分割表[7](E-FIELDで使用)

6. 患者・家族等との共同意思決定(SDM)

SDM(shared decision making)とは、医療・ケアチームと患者・家族等とのコミュニケーションを通じて、患者の価値観や選好を医療上の意思決定に取り込んで、治療・ケアのゴールを決めていく過程です。

患者の意思確認の4つの場合分け

厚労省プロセスガイドラインに沿い、以下の4つの場合に分けて対応します。

場合 対応の原則
ⅰ. 患者の意思が確認できる場合 患者の意思を尊重することを原則とする。意思決定能力の有無を専門的に評価。意思決定能力がなくてもACPの内容が現在の臨床状況に適用できる場合はそれを尊重
ⅱ. 意思は確認できないが推定できる場合 推定意思を尊重することを原則。ACPが行われていた場合、臨床状況が予想と一致していなくても、患者の希望や価値観を基に意思推定の根拠とし得る
ⅲ. 意思が確認できず推定もできない場合 患者にとって何が最善であるかについて、家族等と十分に話し合い最善の方針をとる。プロセスを繰り返し行う
ⅳ. 身元不詳・身寄りがない場合 年齢や外見等の偏見を排除し、生活状況や意思決定能力の回復可能性を踏まえ判断。公正かつ透明性ある手続きを通じて判断する

身寄りがない場合については、厚生労働省の「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン及び事例集」[8]も参考になります。

コミュニケーションスキルトレーニング

救急・集中治療に関わる医療従事者がSDMのためのコミュニケーションスキルトレーニングを受けることによって、患者・家族等との対話の質を改善させ、双方にとってより満足できる治療・ケアのゴールが決定できることが知られており[9]、その知識と技術の習得が推奨されています。

7. 倫理コンサルテーションの役割

以下のような場合には、必要に応じて臨床倫理コンサルテーションチーム臨床倫理委員会等の複数の専門家からなる組織に方針等についての検討および助言を求めることが有用です。

  • 医療・ケアチームの中で治療・ケアのゴールの決定が困難な場合
  • 患者・家族等と医療・ケアチームとの間で合意が得られない場合
  • 家族等の中で意見がまとまらない場合
  • 患者の意思の確認ができず、家族等がいない場合
📋 重要な原則
臨床倫理コンサルテーションチームや臨床倫理委員会は、医療・ケアチームが現場で行っている意思決定プロセスが当ガイドラインに則った適切なものであることを判断し、サポートする組織です。最終的な意思決定は、原則として医療・ケアチーム、患者・家族等に委ねられます。
臨床倫理トレーニングの機会一覧(クリックして展開)
  • E-FIELD(厚生労働省委託事業)[10]:本人の意向を尊重した意思決定のための相談員研修会
  • 日本集中治療医学会 教育講座[11]:救急・集中治療と臨床倫理 ―倫理的法的社会的課題への対応
  • 日本集中治療医学会 患者家族のこころのケア講座[12]
  • 日本集中治療医学会 意思決定支援プロセスセミナー[13]
  • HEPT(厚生労働省委託事業/日本心不全学会公認)[14]:心不全の緩和ケアトレーニング
  • 日本臨床倫理学会 臨床倫理認定士制度[15]
  • 病院・臨床倫理委員会コンソーシアム[16]

8. 生命維持治療への対応(具体的選択肢)

臨床倫理的な検討とSDMを適切なプロセスで行った結果、治療・ケアのゴールを達成するために生命維持治療の終了/差し控えが妥当であると判断された場合、以下の対応が挙げられます。

(1)生命維持治療を差し控える(不開始も含む)

対応 詳細
症状緩和 症状緩和のための治療・ケアは行う
新規治療 それ以外の治療を新たに行うことや治療の増強はしない
生命維持装置 人工呼吸器、補助循環装置等の設定や昇圧薬等は減弱できればするが、増強はしない
検査・モニター 侵襲になるため最小限にする
心肺蘇生 心停止時に心肺蘇生は行わない

(2)生命維持治療を終了する

a. 症状緩和のための治療のみを行う

症状緩和のための治療・ケアのみを行い、苦痛を取るための鎮痛・鎮静薬等は継続し、必要に応じて調整します。以下の終了を検討します。

  • 人工呼吸器補助循環装置等の生命維持装置の停止もしくは取り外し
  • ペースメーカー植込み型除細動器の除細動機能の停止
  • 透析療法等の血液浄化の終了
  • 昇圧薬血液製剤抗菌薬輸液人工栄養・水分補給の終了

b. 生命維持治療の一部を終了または減弱する

上記aの全面的な終了ではなく、話し合いの結果、生命維持治療の一部のみ終了または減弱する場合も想定されます。各項目について個別に対応を検討します。

⚠️ 施設としての取り組み
上記対応においては施設ごとにプロトコールを策定する等して、施設全体として取り組むことが望ましいとされています。また、生命維持治療終了後は短時間で心停止となることもあるため、家族等の立会いの下で行うことも検討するとされています。

なお、治療の終了/差し控えが検討されたが予測とは異なる病状の変化や患者・家族等の意向に変化が生じた場合には、再度、医療・ケアチームで検討し、方針を柔軟に再検討するとされています。

9. 期限付きの特定の治療の試行(TLT)

本ガイドラインで新たに明記された重要な概念がTLT(time limited trial)です。

TLTとは

TLTとは、医療・ケアチームと患者・家族等の間で治療・ケアの方針に関して意見の相違がある場合予後が不明確である場合に、患者が望むゴールに向かって改善するか悪化するかを確認するために、両者で合意を得たうえで期間を決めて特定の治療を試行することです[17]

📋 TLTの具体例
例えば、7日間の人工呼吸器管理を行い、臓器機能の回復や合併症の有無を評価する。目標とした期間内に人工呼吸器からの離脱が困難と判明した場合や、患者が許容できる状態になり得ない場合、また治療による苦痛をこれ以上受け入れられない時には、これらの治療の終了を検討する。病状が改善すれば、合意された治療が継続される。

TLTのメリットとデメリット

メリット デメリット
患者の予後を見通すことができる 患者にとって侵襲的な治療を行う期間が長くなる
家族等と医療・ケアチームの対立を解消するためのコミュニケーションを図れる 「死のプロセスの質」を損なう可能性がある
家族等が状況を受け入れるための時間的猶予が生まれる 適応や期間に関しての配慮が必要

TLTの適応や期間に関しては十分な配慮が必要であるとされています[17][18]

10. 生命維持治療終了/差し控え時の緩和ケア

本ガイドラインでは、緩和ケアに関する記述が大幅に拡充されました。日本緩和医療学会が参加学会に加わったことで、具体的な緩和ケアの方針が明確になっています。

基本的緩和ケアの位置づけ

WHOの緩和ケアの定義[19]を踏まえ、生命維持治療の終了/差し控えが検討される患者は、まさに生命が脅かされている状態にあり、緩和ケアの提供が必要不可欠な状況であるとされています。

🚨 重要な原則
適切な緩和ケアを提供できない状態で生命維持治療の終了/差し控えを行うべきではない。
生命維持治療終了/差し控え後は、侵襲的な治療は終了したとしても、症状緩和のための治療は最大限継続されます。

緩和ケアの提供体制

提供者 役割
プライマリ・チーム(主治医・担当看護師等) 日常の診療やケアの一環として基本的緩和ケアを提供。症状緩和、意思決定支援、心理社会的支援等を早期から提供
緩和ケア専門家(緩和医療専門医・緩和ケアチーム等) 緩和困難な苦痛が存在したり、プライマリ・チームだけで対応困難な場合に連携
⚠️ 早期緩和ケア導入の重要性
救急・集中治療領域で重篤な患者は多様な苦痛を抱えており、緩和ケアのニーズが高いことが知られています[21]。日本の急性期領域では緩和ケアが不十分[20]であり、急変や重症化により初めて緩和ケアの導入が検討されるケースもみられます。生命維持治療終了/差し控え後のタイミングで緩和ケアを導入するのでは遅すぎるため、早期の緩和ケア導入が必要です。

参考資料として、日本緩和医療学会「緩和ケアチーム活動の手引き、救急・集中治療領域の緩和ケア」[22]や、日本循環器学会「2021年改訂版 循環器疾患における緩和ケアについての提言」[23]が挙げられています。

11. 臓器提供に関する検討事項

亡くなりゆく患者を診療している際に、臓器提供はひとつの選択肢となります。

種類 対応
脳死下臓器提供 生命維持治療の終了/差し控えに関する意思決定と切り離すことはできないため、本ガイドラインで示すプロセスに準拠し、家族等へ情報提供し話し合う
心停止後臓器提供 生命維持治療の終了/差し控えに関する意思決定が示された後に、専門家による慎重な医学的適応の判断の下で検討すべき

具体的手順については、日本臓器移植ネットワークの各種マニュアル[24]も参照されています。

12. 医療・ケアチームの役割と患者・家族支援体制

救急・集中治療に携わる医療・ケアチームは、その専門性に基づき、臨床倫理に関する知識や問題への対応方法を修得することが求められます。

患者の予後不良であると告げられた患者・家族等は、しばしば激しい衝撃を受け、動揺します。そのような状況においても最善となる意思決定ができるよう、以下の支援が重要です。

  • 患者・家族等との信頼関係の維持
  • 患者・家族等が状況を理解できるよう情報提供
  • 家族等が大切な人を喪失することに対する悲嘆を十分に表出できるよう支援
  • プライマリ・チームと緩和ケアチームが協働して苦痛症状の緩和意思決定支援心理社会的サポートを実施

家族等へのケアの詳細については、「集中治療における終末期患者家族へのこころのケア指針」[25]等が参考になります。

13. 診療録記載のポイント

生命維持治療の終了/差し控えに関する意思決定プロセスは、その経緯を含め、すべて診療録に適切かつ明瞭に記載しなければなりません。

記載すべき事項

カテゴリー 記載事項
1)医学的な検討とその説明 説明の対象となる患者・家族等とその範囲
患者・家族等に説明した内容
患者・家族等による理解や受容の状況
同席した医療者
2)患者の意思について 患者の意思、またはACPの記録等にみられる事前に示された意思とその状況
上記がない場合、家族等による推定意思とその根拠
3)終了/差し控え検討時の対応 患者の意思、またはACPの内容
家族等による推定意思とその根拠
家族等の意向
生命維持治療の終了/差し控えを考慮する時期であることとその根拠
患者にとっての最善の選択肢についての検討内容
医療・ケアチームを含めた検討に加わったすべてのメンバー
📋 記載の意義
適切な記載により、生命維持治療の終了/差し控えにおける様々な問題を把握し、良質な医療を展開することが可能になります。また、のちに検証を受ける際にも、医療・ケアチームによる治療・ケアのゴールの決定、診療のプロセス等が、倫理的に妥当なものであったといえる記載を心がけることが重要です。

14. ガイドライン作成方法と合意形成プロセス

本ガイドラインは、4学会から選定された多職種から構成される作成委員により、修正デルファイ法[3]で合意形成を行ったうえで作成されました。

作成委員の構成

属性 内訳
総数 28名(+アドバイザー4名)
性別 男性 71.4%、女性 28.6%
年齢 40〜49歳 35.8%、50〜59歳 25%、60〜69歳 25%
職業 医師 71.4%、看護師 17.9%、生命倫理専門家 7.1%、法律専門家 3.8%
専門分野 集中治療(成人)28%、救急 20%、循環器内科 20%、緩和医療 12%、心臓血管外科 8%等

合意形成のプロセス

9段階のリッカート尺度を使用し、70%以上の参加者が7〜9の評価を行った場合を合意形成の基準としました。全7ラウンドを経て、3回目のアンケートで全項目にて合意形成を得て最終版となりました。

15. まとめ:臨床現場へのインパクト

本ガイドライン案は、救急・集中治療における生命維持治療終了/差し控えに関して、最終確定後には日本の臨床現場に大きな影響を与えると考えられます。

📋 臨床現場へのキーメッセージ

1. 「終末期」の定義からの脱却:「救命の見込みがない」という判断にとらわれず、患者にとっての最善を多角的に検討するプロセスへ移行

2. 臨床倫理的検討+SDMの二本柱:医学的側面・患者の意向・QOL・周囲の状況の4観点から検討し、患者・家族等との共同意思決定を行う

3. 多職種の心理的安全性:すべての医療・ケア従事者が公平に発言でき、話し合うための心理的安全性が不可欠

4. TLTの活用:意見の相違や不明確な予後に対して期限付きの治療試行が選択肢に

5. 緩和ケアの充実:適切な緩和ケアを提供できない状態での生命維持治療終了/差し控えは行うべきではない

6. 適切な記録:全プロセスを診療録に適切かつ明瞭に記載し、倫理的妥当性を担保する

本ガイドライン案は、救急・集中治療の現場で重篤な患者に向き合っている医療・ケアチームが、患者・家族等とともに生命維持治療終了/差し控えを検討する際のプロセスを示し、その決定後も、患者・家族等に最善の医療を提供するために作成されたものです。現場のすべてのスタッフがこのプロセスを理解し、実践していくことが求められます。

⚠️ 再掲:本記事はパブリックコメント版に基づく解説です
本記事で解説した内容は、2026年2月27日に公表されたパブリックコメント募集版に基づいています。今後、パブリックコメントの結果を踏まえて内容が修正される可能性があります。関心のある方は、ぜひパブリックコメントへの意見提出もご検討ください。最終版が公表された際には、変更点を含めて改めて解説する予定です。

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参考文献

1 日本集中治療医学会,日本救急医学会,日本循環器学会.救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン ~3学会からの提言~.2014年. [Link]
2 厚生労働省.人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン.平成30年3月. [Link]
3 Gattrell WT, Logullo P, van Zuuren EJ, et al. ACCORD (ACcurate COnsensus Reporting Document): A reporting guideline for consensus methods in biomedicine developed via a modified Delphi. PLoS Med 2024;21:e1004326. [DOI]
4 赤林 朗,蔵田伸雄,児玉 聡監訳.臨床倫理学 第五版-臨床医学における倫理的決定のための実践的なアプローチ.東京:新興医学出版社;2006. p. 1-13. [Link]
5 Jonsen AR, Siegler M, Winslade WJ. Clinical Ethics: A Practical Approach to Ethical Decisions in Clinical Medicine, Ninth Edition. New York: McGraw-Hill; 2021. [Link]
6 臨床倫理研究所.臨床倫理ネットワーク日本 臨床倫理検討シート.2023年. [Link]
7 令和6年度厚生労働省委託事業.E-FIELD 臨床倫理の4分割表.2024年. [Link]
8 厚生労働省.身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン及び事例集. [Link]
9 Hwang DY, Oczkowski SJW, Lewis K, et al. Society of Critical Care Medicine Guidelines on Family-Centered Care for Adult ICUs: 2024. Crit Care Med 2025;53:e465-82. [DOI]
10 厚生労働省委託事業 人生の最終段階における医療・ケア体制整備事業.2024年. [Link]
11 日本集中治療医学会.教育講座 救急・集中治療と臨床倫理―倫理的法的社会的課題への対応. [Link]
12 日本集中治療医学会.集中治療における患者家族のこころのケア講座. [Link]
13 日本集中治療医学会.意思決定支援プロセスセミナー. [Link]
14 厚生労働省委託事業 日本心不全学会公認 緩和ケア推進委員会オフィシャルコース HEart failure Palliative care Training program for comprehensive care provider; HEPT. [Link]
15 日本臨床倫理学会.臨床倫理認定士制度. [Link]
16 病院・臨床倫理委員会コンソーシアム. [Link]
17 Kruser JM, Ashana DC, Courtright KR, et al. Defining the Time-limited Trial for Patients with Critical Illness: An Official American Thoracic Society Workshop Report. Ann Am Thorac Soc 2024;21:187-99. [DOI]
18 Downer K, Gustin J, Lincoln T, et al. Communicating About Time-Limited Trials. Chest 2022;161:202-7. [DOI]
19 大坂 巌,渡邊清高,志真泰夫,他.わが国におけるWHO緩和ケア定義の定訳─デルファイ法を用いた緩和ケア関連18団体による共同作成─.Palliat Care Res 2019;14:61-6. [DOI]
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21 Ito K, George N, Wilson J, et al. Primary palliative care recommendations for critical care clinicians. J Intensive Care 2022;10:20. [DOI]
22 日本緩和医療学会.緩和ケアチーム活動の手引き,救急・集中治療領域の緩和ケア.2025年. [Link]
23 日本循環器学会・日本心不全学会合同ガイドライン.2021年改訂版 循環器疾患における緩和ケアについての提言.2021年. [Link]
24 日本臓器移植ネットワーク.法令集&マニュアル. [Link]
25 日本集中治療医学会.集中治療領域における終末期患者家族のこころのケア指針.2011年5月. [Link]